大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)1119号 判決

被告人 竹内栄

〔抄 録〕

所論の判断に先だち、職権で原審における訴因変更手続の適否について調査すると、記録によれば、原判示第一ないし第三の事実については、昭和四八年九月二一日付起訴状で起訴され、審理されていたところ、原審第五回公判で検察官から訴因の変更請求がされ(昭和四九年三月一九日付訴因変更請求書)、原裁判所がこれを許可し変更された訴因をそのまま第一ないし第三の事実として認定したこと、変更前の公訴事実は、「被告人は、昭和四七年二月上旬ころから同月下旬ころまでの間に……の自室において、村上俊夫から、同人が窃盗本犯から売却処分方の依頼を受けた賍物であることの情を知りながら、小紋染着尺一三反および附け下げ二反合計一五反の反物を一反につき五、〇〇〇円の単価で合計七五、〇〇〇円で買受け、もって賍物の故買をしたものである。」というものであり、変更された訴因は、「被告人は、第一昭和四七年二月上旬ころ、……の自室において、村上俊夫から……賍物であることの情を知りながら、反物約四〇反を一反につき五、〇〇〇円の単価で買受け、第二同月中旬ころ、同所において、右村上から……賍物であることの情を知りながら、反物約五〇反を一反につき五、〇〇〇円の単価で買受け、第三同月下旬ころ、同所において、右村上から、……賍物であることの情を知りながら、反物約四〇反を一反につき五、〇〇〇円の単価で買受け、もって賍物の故買をしたものである。」というものである。そこで、変更前の訴因と変更された訴因との間に公訴事実の同一性があるかどうかを検討する。

まず前者は、何回にわたり意思を継続してというような記載を欠き、また原審でその旨の釈明もされていないから、二月上旬から下旬までのある時期に……一五反の反物を一反につき五、〇〇〇円の単価で買い受けたと解するのが自然である。これに対し、後者は、第一……、第二……、第三……というように、これらが併合罪の関係にあるとみられる表現形式をとり、かつ、買い受けた反物の反数・金額は前者の四倍以上に及んでいるのである。このような訴因の変更は、訴因制度の根本趣旨にかんがみ、同一公訴事実の範囲内で行なわれたといえるかどうか頗る疑わしく、本件を単なる罪数的評価の問題と解することはできない。要するに、変更前の訴因は、変更後の訴因のうちいずれか一個との間では公訴事実の同一性を肯定し得るにしても、その余の二個の訴因との間では公訴事実の同一性は認められないと解するのが相当である。したがって、本件については、刑訴法三一二条一項に反する訴訟手続の法令違反があるというほかなく、この違反が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決はこの点で破棄を免れない(なお、異議がないからといって、このような訴因の変更が訴されるものでないことは明らかである。)。

(横川 柏井 中西)

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